JR東日本の"Suica”のモニタテストを2週間.いろいろ気づく点はあるものの,まあいいシステムなのではないでしょうか. |
従って,Suicaを魔法のカードと考えて使うとがっかりします.
・財布の「一番外側」に入れ,Suica-布-麻-センサ の状態にし,センサの5mm上を滑らせた場合,約3割の確率で「もう一度触れてください」(すなわち,「RFIDがある」検出はしている)
・センサとの間に導体平面があると厳しい.Suica-アルミ製名刺ケース-布-麻 にしていると,財布押し付けても検出しない.券なしとして扱われる.
・裸にして手に持っていると,概ね50mmくらいなら検出する.(パンフレットでは「100mmが検出範囲」となっているが,「裸・平行」という最もよい条件下でも,100mmだと読み取らない場合が多い.)
もちろん慣れの問題といえそうですが,財布の中でも読み取れない場合がある以上,使い勝手がいいとはいえません.もう少し検出範囲を上げてもいいのではないかと思われます.
このため,
・読み取れたものの,書き込みに失敗した場合はどうロールバックするのか
・読み書きの時間は長くても100msくらいしか取れない(安全策を考えると40msくらいか?)
・電源を持たないパッシブカードである以上,書き込みの途中で給電が止まったら,データが破壊されることがあるのでは?
といった問題が考えられます.
私は,実は改札機は券に何も書き込んでいない,すなわち,IDだけをチェックしているのではないか?と考えます.
その根拠は次のとおりです.
・読み書きをする場合,read-(compute)-write-verifyという操作が必要.また,どんな素子もそうだと思うが,読み出しに比べ書き込みはかなり遅い.この操作を40-50msで確実に行うのは困難ではないか.
・読み取りだけであれば,readのみの操作で,あとはcomputeを「人がドア部に接近するまでに」行えばよい.このため,概ね500ms程度の時間が取れる.
もしこの「何も書いていない」という仮定が正しければ,これはかなり画期的なことです.IDだけをチェックして,すべてホスト側で有効性の確認をするというのは,コンピュータや通信回線の容量が十分に確保できなければ困難だからです.また,「無から有を作る」ことが原理上不可能になります.
次に,これを推定するだけの出来事を以下に列挙します.
・Suicaでは,紛失時のカード利用差し止め,再発行が可能.
・有人改札の処理機で出場記録等の処理をしてもらう場合,Suicaをセンサに乗せると,「センタに照会中」と画面に表示される.
実際のところは知る由もないですが,最近のコンピュータなら,往復込みで100msもあれば乗車券の判定くらいはできるでしょうから,「カードに書き込んでいない」可能性は十分にあります.しかしSuicaのネットワークが広がった場合,他社を含めて相互利用が始まった場合の問題はあります.