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Suicaスタート!

更新:2001年4月8日
 JR東日本の新しい出改札システム,スイカ(Suica)がスタートします.7月までのモニタ試験を実施し,その後本格的に導入されるようです.
 従来からの磁気券にかわってICカードを利用し,ICカードと自動改集札機とは無線で通信します.ただしICカードが普及すれば改集札機とは言わなくなりそうですが.改めはするけど集めないんですからね.
 無線といってもETCのようにマイクロ波で通信するというよりは,RFID,すなわち誘導で通信するようなしくみです.券側はパッシブであり,電源はありません.

今日スタート

 今日は日本の出改札システムの歴史を大きく塗り替える,「Suicaモニタテスト開始日」.そう,私はこのために通勤経路をねじ曲げてモニタに参加しているのです.Suicaを使いたいばっかりに.
 別にSuicaの「モニタのご案内」には,この実験への参加で知りえた情報は...とか,この情報は10秒後に...とは書いていないので,まあ私のような一般人が知りえた範囲で書くことにします.
 そもそもモニタは1万人も募集しているので,まあ実用化が前提のことだと考えましょう.

発券はスムーズ?

 私はJRの定期を買ったことがない(生まれも育ちも民鉄文化圏,いまだかつてJRで通勤・通学したこともない)ので,JRの定期券うりばがどういう対応をするか知りません.
 そもそも定期は「定期券うりば」で買うと思っているのが民鉄文化圏生まれの性.指定券だの特急券だの全国最長距離片道切符だのを売っている窓口で買うなんて,違和感アリアリ.
 従って磁気券とSuicaで発券手順がどうか,ということは比較できません.ごめんなさい.
 ただ手順的には普通の定期と同じで,申込書を渡して,内容を駅員がマルスに打ち込んで発券というしくみです.
 大きく違ったのは,私はモニタなので,あらかじめ「白ロム」のSuicaを渡されていました.それを駅員に渡して「発券」してもらう必要があるのでした.(白ロムの状態で券売機に入れたら,1500円,と認識しました.謝礼の1500円がチャージ済みということです.)
 現状では「みどりの窓口」の一部に「Suicaリーダライタ」が配備されており,それで書き込んでいるようです.券面は,まあ便宜的なものなのですが,リライトカードのようです.
 しかし定期に「白ロム」だの「チャージ」だのいう用語が出てくるのは画期的.
 全般的に民鉄に比べて手順は遅いでしょうか.民鉄の場合は駅が限られている上にその駅員は一日中定期しか売らないというせいもあり,もう手際よく次から次へと定期を売りますが,JRの場合はいろんな券の片手間に売るもんですから,列の進みは遅いです.
 しかもいまだにマルスに手打ちで内容を打ち込んでいるんですから.小田急は結構前からOCRなので,ちょっとアレですね.

白ロムのSuica.銀色,山吹色.JR北海道の色みたい.

裏.銀地に黒.最後の砦になるシリアル番号は彫りこみになっている.番号だけは秘匿させてください.
JEって書いてあるのは,KOだのTKだのOEだのに意地でも売り込むという予兆???

黒ロムのSuica.印字は昔のドットプリンタの「青インク」のよう.
物理規格:
 大きさ クレディットカードと同じ
 厚さ クレディットカードと同じ
 (サイバネではない!)
 重さ 調べてない

画期的自動改札機

 そりゃもう画期的です.基本的に非接触なのですから.
 しかし読み取り性能はあまりよくないようです.良くしすぎると「隣のゲート」を通った人の改札をしてしまうので,「センサから10cm以内」にしているためと思われます.
 しかも「10cm」は「障害物なしで10cm」である上,インダクティブ(誘導)を利用している関係上,2本のコイルの電磁誘導結合がちゃんとできないといけない,という原理なわけで,
 ・真上はいいけど横はだめ(磁束が漏れる)
 ・カードをセンサに並行にかざさないとだめ(垂直ではだめ)
 という問題があるんです.もちろん「だめ」ではないが,離隔の許容が大幅に減るようです.垂直に至っては,かばんの中ではまったくだめでした.

 初日ということもあり,東芝だの東日本メカトロだのの腕章をつけた人が何人も改札の前で張っていました.きっと
 「かばんに入れたまま通ろうとした人 正正正
  はだかで通ろうとした人 正正
  パスケースの人 正正正正」
 なーんてことをしてたんでしょうね.

初日の要望

 とりあえずSF映画や「かばんにいれたままでOK!」というお言葉に甘え,かばんに入れたまま使ってみたのですが,「かばんの中では使い物にならない」のが本音です.
 何度もかばんをゆすって,やっとOKなので,「カードをかばんから出す」「水平に」というのが周知されないと,新たな流動阻害の一因になります.
 というのも,かばんの中にカードを「水平に」入れる人っています???というのが思い浮かびます.
 「底」に「水平に」入れていないとだめのようなのですが,例えばハンドバッグで,普通そんなことしないと思います.普通は「ポケット」に「垂直に」入れるでしょうから,どちらかというとセンサは水平でなく垂直にしておいたほうがいいのでは,と思うくらいです.

JR東日本の真意はいかに

 「使い捨て電車」だの「走ルンです」などと勝手に呼ばれるヒット作を立て続けに世に送り出している東日本なんとか鉄道株式会社ですから,「♪安〜いことはいいことだ〜♪」なのはほぼ確実と言っていいでしょう.これ自体は普通の会社はうちも含めみんなそうですから,文句はありません.要は性能がrequirementを満たして,値段と性能がつりあっていればいいんです.
 Suicaの仕組みですが,通常の改札機は
 ・取り込み
 ・搬送
 ・向き揃え
 ・溜め込み(複数対応機種)
 ・読み取り
 ・書き込み
 ・パンチ(穴あけ,SFと乗車券と2系統)
 ・印字
 ・排出
 ・着札箱
 ・もちろんドア
 といった機能が必要である上
 ・ヘッドの掃除
 ・券詰まりの対処
 ・着札の回収
 という日常の処理がすごく多いでしょう.そもそも可動部分があるのがいかんのです.最近JR東日本は電車でさえも可動部分をいろいろ減らしているようで,そのうち可動部分がない電車を出すんじゃないかとさえ思えますが,少なくとも改札機に可動部分なんて必須ではないんです.(ドアは必要ですが.)
 非接触のSuicaは
 ・コイル
 ・ドア
 だけでOK(おいおい)なので,機械の値段や信頼性は相当メリットになりそうです.カードの値段は高いですが,回収してリライトするんですから元は取れるでしょう.(さらにディポジット制だし.)
 とりあえずまた報告します.